第1話:膝

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  ー 「ちょうど女子寮との間にあったねぇ、スーパー」 「そうだな」 これから世話になる男子寮から徒歩5、6分の距離のところに、スーパーは在った。 『市内最大級の大型……』とか『某有名チェーン展開の……』とか、そういうのではないが、それでも品数は豊富そうだ。 「ねぇ、幸くんは何食べたい?」 「簡単に作れるのなら何でもかなぁ」 「えー、そういうのが一番困るんだよぉ……って、えへへ♪ 何か夫婦みたい」 ……はいはい、乙女はこういうお話好きですねー。 と言っても、春菜の料理の腕前とかも分からんし、下手にハードルの高そうなのは要求出来ない。 となると、ここは定番の…… 「「オムライスでいっか」」 うぁ、ハモった。 「えへへ、同じこと考えてたね」 「う、うるさいなぁ……っ」 思わずつっけんどんに返事したけど、内心はムチャクチャ嬉しくて堪らない。 どうやら春菜もオムライスは作れるらしいし、これはかなりの収穫なのでは? 「ケチャップとか買わないとね。  ……あ、調味料も揃えとかないと」 「あまりいっぺんに買い込むなよ?  午後から荷物運ぶから体力残しとかないと」 今日は俺の荷物が届いて、明日は春菜のが届く。 日付をずらして互いに手伝うことにしたのはまぁ……バカップルの証明なのか。 「チョコとぉ、トウモロコシとぉ……」 信じて大丈夫だろうか?  
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