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そうか、今になって気付いたよ。
春菜は俺を気遣ってくれてたんだな?
思いっきり大声で当たり障りの無い『ノーマル・アイ・ラヴ・ユー』なんてやったから、断りきれなかったんだろう。
「すまなかった、春菜。
お前に気を遣わせてたな、俺……」
買った荷物の中に、首を締め上げられそうなヒモ状のモノはあったかな。
無かったら……あ、包丁があるか。
「……?幸くん、なに言ってるの?」
「いやいや、ただ睡眠薬を過剰摂取しようかな、って考えてただけだから」
「死んじゃうよ!?」
なに言ってるの?は春菜の方じゃないか。
死ぬんだよ、失恋のショックで。
「じゃあ、真っ赤な食人植物の生えてくる土管の上で操作を放棄するよ、俺の」
「だから死んじゃうよ!?
……っていうかあるの!?そんなの!」
だったらどうしろと言うんだ。
長年の片想い(ちなみに初恋)がOKされたと思ったら、実はその娘は俺を傷付けない為に、嫌々彼女役を演じてたんだぞ?
罪悪感も半端ないわっ!
「ごめんな、調子に乗って手ぇ繋ごうとか言い出して……生理的に受け付けなかったか?ファブリーズでシュッシュッしとこうか?」
「あのー、幸くん?」
春菜の不服そうな声が聞こえる……まだダメなのか。
さすれば俺の自殺計画についてじっくりと聞いて貰おうじゃないか。。
「いやいやいや、もう何も言うな。これから殺菌作用の強い強酸性の洗剤でドバドバとうがいするから」
「ちよっ、幸くん!?」
まだ足りないかっ!
春菜は隠れドSだったというのか!?
「解ったよ春菜、これから科学的に手の細菌をキレイキレイするから……」
「~~~~~…、ばかぁ……」
──────キュッ……
「はる……な?」
春菜の蚊の鳴くような声の直後、俺の左袖が僅かに後ろに引かれた。
「……ヤじゃないもん、ばかぁ…っ!」
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