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OK、ちょいと脳内サミットでも開こうや。
まずは俺A、意見を述べてくれ。
『はい、エー、俺としてェーはデレ期だとおもわれェーます』
うむ、俺の中で最も強い願望だから……こんな意見が出ても不思議ではないか。
『ビー!ビッビー!外れだ、そんなん』
『ちょっ、シーずかにシーなよ、俺B』
うるさいぞ、俺Bに俺C。
今は俺Aの意見について考えるんだ、黙って順番を待ってろ。
…………。
やめよう、虚しすぎる。
ー
「春菜、イヤじゃないのか?」
「………ぅん…」
脳内サミット(妄想)から戻り、立ち止まって春菜に訊ねる。
桜香る並木道の、別段何もないところで。
振り返って彼女(役?)の顔を見ようか見まいか悩んだ。
不機嫌な顔をしてるかもしれないし、ほくそ笑んでいるかもしれない。
……が、ついに決心し、俺は振り返って左後ろの春菜と向き合った。
「…ぁぅ……恥ずかしいよぉ…っ!」
「んなっはッ!!」
羞恥頂点。
顔面沸騰。
振り向いた視線の先には、可愛らしくちょこんと俺の袖を握る春菜が、羞恥の限界に達した顔をしていた。
つまりアレだ。
この上なく彼氏冥利に尽きる照れ方をしていたワケだ、春菜は。
「こっ…こっち見ちゃ…ヤだぁ……っ!……幸くん、早くっ!」
「……うあっ…可愛い……」
「っ!……もぉやめてよぉぉ……っ!!」
思わず零れた本音が、春菜の羞恥を更なる高みへと押し上げてしまったらしい。
何コレ、どういうこと?
こんな顔の春菜、見たことないんですけど!?
「わうぅ……別れてやるぅ…」
「マジで!?」
「…………。
……やっぱヤだぁ…」
じゃあ言うなよ。
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