第1話:膝

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  OK、ちょいと脳内サミットでも開こうや。 まずは俺A、意見を述べてくれ。 『はい、エー、俺としてェーはデレ期だとおもわれェーます』 うむ、俺の中で最も強い願望だから……こんな意見が出ても不思議ではないか。 『ビー!ビッビー!外れだ、そんなん』 『ちょっ、シーずかにシーなよ、俺B』 うるさいぞ、俺Bに俺C。 今は俺Aの意見について考えるんだ、黙って順番を待ってろ。 …………。 やめよう、虚しすぎる。 ー 「春菜、イヤじゃないのか?」 「………ぅん…」 脳内サミット(妄想)から戻り、立ち止まって春菜に訊ねる。 桜香る並木道の、別段何もないところで。 振り返って彼女(役?)の顔を見ようか見まいか悩んだ。 不機嫌な顔をしてるかもしれないし、ほくそ笑んでいるかもしれない。 ……が、ついに決心し、俺は振り返って左後ろの春菜と向き合った。 「…ぁぅ……恥ずかしいよぉ…っ!」 「んなっはッ!!」 羞恥頂点。 顔面沸騰。 振り向いた視線の先には、可愛らしくちょこんと俺の袖を握る春菜が、羞恥の限界に達した顔をしていた。 つまりアレだ。 この上なく彼氏冥利に尽きる照れ方をしていたワケだ、春菜は。 「こっ…こっち見ちゃ…ヤだぁ……っ!……幸くん、早くっ!」 「……うあっ…可愛い……」 「っ!……もぉやめてよぉぉ……っ!!」 思わず零れた本音が、春菜の羞恥を更なる高みへと押し上げてしまったらしい。 何コレ、どういうこと? こんな顔の春菜、見たことないんですけど!? 「わうぅ……別れてやるぅ…」 「マジで!?」 「…………。  ……やっぱヤだぁ…」 じゃあ言うなよ。  
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