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「えーっと……じゃあ確認。
春菜は俺と手を繋ぐのが恥じゃないのか?」
「…はっ、恥でも何でもないよっ!私だって繋ぎたい…し……」
全俺が胸の内で泣いた。
良かった、フラれたワケではないらしい。
「けど…幸くんと手ぇ繋いだりなんかしたら……絶対ニヤけちゃう……ょ?」
ヤバやべぇ、今すぐ抱き締めたい。
上目遣いだし、その見上げた目も涙が零れんばかりに潤んでるし。
つーか待って?
そんなんで繋ごうとしなかったのか?
「そんなん、春菜は可愛いんだから多少ニコニコしててもおかしくないだろ?」
子をあやすような声音で語り掛けながら、春菜の柔らかな黒髪に手を伸ばす。
うは、サラサラっ!
「でっ、でもでも!幸くんは恥ずかしくない!?手ぇ繋いでるだけでニヤニヤしてる女の子が隣にいたら……──────」
「じゃあ繋ごう、今すぐ繋ごう」
あぁもう、イイコ過ぎる。
俺は春菜の反論を遮りながら、彼女の小さな手を掴んだ。
肌触りの良さそうなカーディガンの袖から、ちょこんとはみ出たそれを。
……まぁ、こんなことを断りも無くすれば、いくら春菜でも憤慨するワケで、
「だっ、だめだめだめ!汗ベッタベタだよ!?心臓バックバクだよ!?私死んじゃうよ!?良いの!?」
「それでも繋ぎてーの。
……そうだな、じゃあ寮に着くまで手を繋がせてくれたら、何でも言うこと聞いてやる。
──────それでどうだ?」
「………ゎぅ…」
そう言った途端、春菜の抵抗が止んだ。
現金なヤツめ。
「…ぅん………約束だからね…?」
死んでも守ろう。
そう胸に誓いました。
萌え死ななければ、の話だが。
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