Prologue.

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住んでいるアパートの玄関に入ると同時に、安堵感と疲れがどっと押し寄せて来る。私は無事、家に帰って来ることができたのだ。そのことにひどく安心する。 背後を常に気にしながら歩くのは疲れる。だからやっと人通りの多い道路に出た時は、正直かなりホッとした。 「あー、疲れた!」 私は安心してつい大きな声を出し、そのままベッドにダイブした。 ギシッとスプリングが軋む。 明日も仕事だ。 そう考えると少し憂鬱になるが、ストーカーに付き纏われる恐怖に比べれば、何倍もマシだ。 ただ、一つだけ。 また「あいつ」と顔を合わせるのかと思うと、私の気分は更に深く沈む。 でもその反面、仕方ないとも思うが。 だって「あいつ」とは、大嫌いな上司の事なのだから。 私はその顔を思い出す前に急激な睡魔に襲われ、そして意識を手放した。
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