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『何故人は自ら恐がることを選ぶんだ?』
『え?』
『確かに人間には刺激が必要だ。それがなければ人間の免疫が落ちてしまうからだ』
『はあ……』
『しかしそれは、例えば登山をしに行くとか運動をするとか……そういうもので補える』
『………』
『それを何故せずにこうしてわざわざ時間と金を遣わなければならないのかが皆目検討もつかない』
『…………』
始まった………
と華来は心の中で呟いた。
一方話していた本人は腕を組みながらある方向を見ている。
その方向とはカップルや子供が列を作るお化け屋敷だ。
二人はその列を遠回しに見れる位置にいる。
観察するように列を見ている男の名は神崎 奏[カンザキ カナデ]
至って普通の名前であるがその名前とは裏腹に性格は変人である。
そんな彼の隣にいるのは木崎 華来[キサキ カコ]
華が来る、という意味で名付けられた名前の通りに素直に育ち、普通の人となった………と自分では思っている。
華来は隣にいる銀縁眼鏡の俗にいうイケメンを見上げる。
悔しいことに外見だけは上の上のようなものだが中身は計り知れない。
でも好きなんだよね………
華来は自分自身に疑問を持ちながら、少しだけ出会った時を思い出した。
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