白雪王子様

2/3
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「鏡よ鏡、この城で一番のイケメンは誰だ?」  金髪のつり目気味の男は、ただ一人鏡である俺の前に立ち、問う。 本来誰の返事も返ってこないはずだが、シンとした部屋に凛とした声が響く 「――…イケメンって何ですか?」 「っ…」  拍子抜けした答えに、金髪の男は大袈裟に滑ってみせた 再び姿勢を直して俺の前に立つ 「イケメン…とは、イケテるメンツの事だ。要約すると、かっこいい男性」 「あぁ、なるほど…。ところで、なぜ城限定?」  ポリポリと金髪の男は頬をかき どこか恥ずかしそうな顔で、答える 「そこまで俺は顔に自信があるわけじゃない」 (良く分かってるじゃないか)  と、心の中で悪態をつく まぁ、この男なら世間一般で言う『中の下』であろう 「何であまり顔に自信ないのを分かってて、そんな事を聞く?」 「え、いや…だって…」  ゴニョゴニョと小さい声でどもる その表情はさっきと違い、頬がほんのりと色付いていた 「俺の好きなひと、面食いだから…」 「はぁ…」  俺は盛大なため息をついた 嗚呼、人間ってめんどくさい。 「そんなの、俺に聞いたところでお前の顔が変わる訳じゃないだろう」 今までしゅんとしていた金髪は、 鏡の言葉を聞き、顔をぱあっと輝かせる 「そ、それがさ、俺、魔法使いの見習いなんだ…!」  俺は顔を歪める 「ほぅ…」  魔法使いの見習い、と言うことは簡単な魔法なら使えるであろう しかし、人の顔を変えると言うのは…確か俺の知る中で上級魔法使いができることではなかった…か…? 「だから、さ、この城で一番かっこいい奴教えてくれよ!」  まるで子供のようなはしゃぎようだ 見た目は大人、心はまさに子供だな まぁ教えるだけ教えてやろうか 減るもんじゃないし と言うか結果は目に見えてると思うんだがな。 「…この城で、一番かっこいいのは、白雪王子様だ」  白雪王子様とは、18年前にこの王国で生まれた王子様  現在の姿は、 雪のような真っ白い肌に、真っ黒い黒真珠のような瞳、 血のような真っ赤な唇 そしてウルフカットの黒い髪  容姿端麗、とはまさにこの人の事を言う まぁ、俺は地下に閉じ込められているから実際にお会いしたことはないが、 鏡ネットワークを通じて見たことはある  生まれたばかりのきゃろるんとした王子を見たときなんか、鏡のクセに鼻血出るかと思ったからな、俺。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!