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頬を抑えたくても抑えられず、無様に床をのたうち回る勇人を見ながら、考える。
この馬鹿が変なことに巻き込まれたのはわかった。しかし、今の話を鵜呑みにするのも、頭がどうかしている。勇人は昔っから俺に対して嘘をついた事がない。そもそもこいつの嘘は、嘘になる前に俺が暴くから、本当のことかどうかはすぐわかる。となると、この生意気な幼女が勇人をそそのかしたのだろうか。だが、メリットは何だ? こんな顔だけ良い、頭が空っぽの馬鹿を騙したところで、男娼くらいしか使い道はないぞ?
「貴様、友の言ったことがまだ信じられないのか?」
幼女がビクビクしながら言った。デコピンが効いているらしい。
「いや、おかしいところがたくさんあるだろ。まず、幼女、なぜお前は、日本語を話せる」
「そ、それは……日本の文化に触れて、我が国でも取り入れようと……」
「幼女のくせに頭の回転は早いみたいだな。そうか、まあ、お前の話に乗っかってやろう。とするとだ、お前は日本文化を取り入れるため、来た。では、どんな文化を取り入れる手筈だったんだ?」
それは……と言葉を濁す幼女を見て、俺は確信した。こいつは嘘をついている。
「まあいいや、俺には関係ないし、関わろうとも思わない。本当のことを言うつもりがないなら、そこの馬鹿連れて帰れ」
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