とにかく彼は女の子を抱えて俺の部屋の前に来た

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 なぜか今度は幼女のほうが喚き立て始めたので、俺は仕方なく回覧板を諦めて静かに部屋へと戻った。 「掛矢ぁあああ!!」 「だってそこのちんちくりんが殺すって脅したんだもん」 「もんって言うキャラじゃないだろ! お願いだから助けてよぉ!」 「そうだ気色悪い。早くこの男を助けろクズ」  本当に助けてもらう気があるのかあの幼女。というか俺は一体誰を助ければいい。 「ッ……仕方ない。勇人、お前今いくら持ってる?」 「えと……一万円くらいかな……でもどうして?」  ドア越しの友人に慈悲をかけてやるのも悪くない気がしてきた。 「ウチの宿屋は一日一万円だ」  ドアの下の隙間から一万円札がするする出てきた。受け取った俺は気分が良くなったので借りてきたDVDを見ることにした。
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