とにかく彼は女の子を抱えて俺の部屋の前に来た

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 やっとこの二人の経緯を聞く体制が整った。  目の前には縄で縛り付けた変態と幼女。なぜか幼女も縛られてしまったわけなのだが、僕もよくわかりません。 「貴様ァ……この私を縛るとは……本当にいい度胸をしている」 「あぁ!? 次喋ると口も塞ぐぞクソガキが」 「どうしてこうなっちゃったんだよ……」  怒気を噴出させる幼女に気を遣った眼差しを送りながら、勇人が静かに項垂れる。  呪詛のようにコロスと宣う幼女を無視して勇人に今までの経緯の説明を促した。 「僕が誘拐しちゃったこの女の子なんだけど……」 「ちょっと待て勇人。このクソムシを本当に信用していいのか?」  勇人の説明を途中で遮った幼女はまたもや俺のことをクソムシ呼ばわりして、俺は冷静に幼女のおでこに強烈なデコピンをお見舞いさせた。 「痛い! こいつとうとう私に手を上げおったぞ!? しかもかなり本気だったぞ!」  芋虫のように床をのたうち回る幼女を鼻で笑う。所詮はただの幼女なのだ。涙目であいつを今すぐ殺してくれ、と泣き叫ぶ幼女にデコピンの素振りを見せつけて黙らせる。 「さて、説明してもらおうか」  今にも泣きそうな金髪幼女ともう号泣してしまっている勇人。そして暇で暇で仕方なかったこの夏休み最大級の娯楽に喜ぶ俺。  しかし喜びもつかの間、というか喜んでいた時間が今この瞬間しかなかったわけだが。  これから聞くであろう彼らの身の上話に俺は激しく後悔することになる。  そして考えるのであった。幼女を誘拐した友人をブタ箱行きにするには、と。
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