それとこれとは話が別

1/4
前へ
/12ページ
次へ

それとこれとは話が別

「そんで、どうして幼女なんか誘拐したんだ。はっきり言ってキモいぞお前」 「自然に中傷しないでよぉ! この子は……」  話を聞くと、彼女は最近独立した国のお姫様らしい。そう聞くと確かに、このわがまま具合も納得できる。  日本に観光に来たらしいが、そこで、見知らぬ集団に襲われて、そこを勇人が助けた、とまあ、非常に胡散臭い内容だった。 「勇人。そういう恥ずかしい妄想は、刑務所でいっぱいしような」 「ま、待ってよ! 僕ら親友でしょ! 信じてよぉ」  親友……はて、言葉の意味を忘れてしまったな。代わりと言っては何だが彼には【カネヅル】という肩書を与えようと思う。 「こんなクズを親友など……勇人はもう少し友人を選んだほうがいいぞ」 「あ、それ俺も思う」 「なんで掛矢まで便乗するの!? お願いだから助けてよぉ」  うぜえな。夏に耳元で飛び回る蚊と同じくらいウザい。あいつら耳を集中的に狙って煽ってくるからな。あ、なんかすごくイライラしてきた。 「痛っ! え? え? なんで今僕殴られたの!?」 「夏の蚊が想像以上にウザいからかな」 「意味分かんないよ!」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加