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「……面白い……あなた、面白いわ」
突然現れた少女はそう言った。
多分、僕に向けてそう言った。
暗闇のような。影のような。
シルエットだけを張り付けたような存在感。
そんな彼女は、僕に向けて言う。
面白い。と。
心底心外だが……。
それでも……僕は少し、ほんの少しだけ……嬉しくて。
そして、少女は……影みたいな、暗闇を切り抜いたみたいな、シルエットみたいな少女は……。
僕を見下ろして、“悪”そうな笑みを顔に張り付けていた。
それが、とるに足らない何の責任もとれない僕と、自称『悪』の少女との出会いだった。
終わっていた僕が、もしかしたら歩き出せる……かも知れない……そんな物語の始まり。
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