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「つなぎ、止めようとしている」
思わず、反復してしまった。訳が、わからなかった。リンは続ける。
「……私達を痛めつけて、逃げる気力を、無くそうとしてるんだよ」
「そんな、そんなことしても、ここに逃げ道なんてないのに」
「それでもだよ」と、リンは言った。
「最後の希望すら、奪おうとしてるんだ」
「……そん、な……」
思わず、涙が出てきた。鞭で打たれても出てこなかった涙が、今ここででてきた。
「それでも」
リンは、顔を上げていう。
「それでも私は、諦めないよ。絶対にいつか、ここを出てやるんだ」
リンの目には、けして消えない灯火が宿っていた。どうやらリンは、何が何でも諦めないらしかった。
「その時は、カイも一緒に」
「無理だよ」
僕は、冷たく言い放った。
「僕らは、永遠にここから出ることはできない。出ることができたとしても、それは、この国の兵器としてでだ」
「そんなこと」
「そんなこと、あるよ」
僕は、体育座りになり、顔を沈めた。そうしないと、やっていけなかった。この、どうしようもない絶望と、向かいあうことができなかった。
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