5人が本棚に入れています
本棚に追加
「じゃないと、ホントに死んじゃうよ」
「……いいよ。別に死んでも」
「それは駄目!」静かだった牢屋内に、突然、リンの叫び声が響いた。僕は、びっくりして目を見開く。
「それは駄目だよ、カイ。カイが死んじゃったら、私、どうすればいいかわかんないよ」
「僕と君は、昨日会ったばっかりだろう? そんな僕が死んで、何で君が悲しむんだよ?」
「それでも」
リンは、顔を下に向け、「それでも」。
「カイは私のここに来ての、いや、人生で初めての話し相手だったんだから」
「……リン」
「だから、ね? 一緒にご飯食べよう? ね?」
リンは、今にも泣きそうな顔をしていた。僕は、仕方なく頷くと、差し出されてあった汚いパンを一枚口に含んだ。とても、不味かった。
△▼△▼△
「私がここに来た理由、カイに教えてあげようか」
朝食を取ってからの長い沈黙の後、リンは唐突に口を開いた。
「リンが、ここに来た理由?」
「そう」
リンは頷く。
「私、妖精とテンのハーフなんだ」
僕は、首を傾げた。リンの言っている意味が、よくわからなかった。だけどリンは、決心して話しているようだった。リンは、続ける。
.
最初のコメントを投稿しよう!