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投獄されてから、一週間目の朝がやってきた。いや、朝かどうかはここからではわからない。でも、やってくる朝食が六回目だった。
この時の僕は、かなり憔悴していた。元気を、無くしていた。そんな僕を現実につなぎ止めてくれたのは、他ならぬリンだった。
「ねえ、カイ」
唐突に、彼女はそう言った。
「私達、そろそろお別れしなくちゃならないかもしれない」
「……え」
言っている意味が、よくわからなかった。
「それ、どういう意味だい?」
リンは、しばらく何かを考えた後、口を開いた。
「私が投獄されてから、二週間が立つの。戦況が動くとしたら、だいたい、今くらいだわ」
「駆り出されるのか?」
「うん」
リンは、僕のほうに、身体をずり寄せてきた。
「私、カイと離れたくない」
そう言ってリンは、僕の肩に頭をのせてくる。その身体は、震えていた。
「私、化け物に改造されちゃうの」
リンは、僕の肩に頭を預けたまま、そう言った。
「化け物に?」
思わず反復してしまう。言っている意味が、よくわからなかった。
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