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すると、魔剣の切っ先から黒い光があふれ出し、とげの形になり、全員の心臓を貫いた。僕は、初めて扱うのに、この魔剣の扱い方を、知っていた。
全員が倒れ伏すのを確認すると、僕は次の軍勢へと向かって言った。僕は、傷一つついていなかった。それだけ、この魔剣の力は強大だった。
漆黒の空を、何か白いものが突き抜けた。それは、僕も見ずに、真っ直ぐ、ピア王国へと向かっていった。
僕は、それを見た瞬間、何か、嫌なものが中心を駆け抜けた気がした。それは、魔剣と相反する、何かだった。
聖剣。一瞬、僕の頭に、そんな言葉がよぎった。あれは聖剣だ。確信した。あれは聖剣だ。
そしてあれは、ピア王国をズタズタにする。僕は思った。あれによって、ピア王国は戦に負けることになるのだと。
けれど、そんなことを考えている暇など、僕にはないようだった。僕は、次々にやって来る敵の軍勢を、次々に殺した。的確な急所を狙って。罪悪感は、不思議とわいてこなかった。それだけ僕は、壊れてるんだなと思った。
そして次の瞬間、僕の意識は切り替わった。
△▼△▼△
僕を操る制御装置が、壊れたんだなと、最初の僕は思った。気づけば、僕の思考は回復していた。ピア王国が攻め落とされたんだと思った。あの、聖剣によって。
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