牢獄

5/17
前へ
/48ページ
次へ
それから僕は、しばらく考えた。僕は、つつましく高校生活を送っていた、凡庸なる高校生だ。捕まるようなこともしてないし、それよりも、ピア王国ってどこだ? 外国? 疑問は、多々でてきた。しかし、どれも、今の現実とは結びつかなかった。わからない。わからないことが、多すぎる。 しばらくして、恐る恐る、といった風に、でき損ないの妖精、リンが話しかけてきた。 「多分、君、ピア王国に召喚されたんだよ」 「は?」 言っている意味が、よくわからなかった。リンは、続ける。 「だから君、魔剣の使い手として、人間界から、この、テラ、に呼びだされたんだよ」 「テラ?」 「そう。テラ。この世界の、名前」 「続けてくれ」 うん。そう言って少女は、話を始めた。 「今、このピア王国はね、戦争をしていて、とっても強い兵士を探しているんだよ。それで、多分君が呼び出されたんだと思う。私みたいにね。あ、私とはちょっと場合が違うけど」 「呼び出されたって、どういうことだ?」 「この王国にはね、昔から魔剣があるんだけど、それを扱えるのはね、古来から、人間だけしかいないって言われてるんだよ。あ、ちなみにこの世界には、人間はいなくてね、昔から、種族どうしの戦争が激しく起こっているんだ」 .
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加