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「つまり僕は、この戦争を終わらせるために呼び出されたって訳か? その、魔剣ってのを使って」
「そう。そういうことだよ。流石人間。飲み込みはっやいねー」
そう言って、リンは僕の頭を撫でた。僕はそれを払いのけると、地面に体育座りをする。
「おうち、帰りたい」
「え?」
「おうち、帰りたい」
△ ▼ △ ▼ △
しばらく僕は、体育座りをして顔を沈めていた。その間、リンは、ずっと僕の傍らにいつづけてくれた。
しきりに「大丈夫? 人間? 大丈夫?」と、僕に声をかけつづけてくれて、肩をポンポン叩いたりしてくれた。いや、単に、暇なだけかもしれない。
少し落ち着いた僕は、目を赤く腫らしながら、リンに言った。
「僕の名前は、カイ」
「カイ? カイ。良い名前だね。カイ」
「ありがとう。リン」
リンは、にこりと笑う。
「少し元気でた? 元気にしてないと駄目だよ? ここじゃやっていけないよ?」
「……うん」
「さあ、元気だして、カイ。元気が一番」
そう言って、リンは立ち上がり、おー、とガッツポーズしてみせた。心無しか、少しだけ、元気がでたような気がした。
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