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しばらくして、檻の外に、全身、頭から爪先まで黒ずくめの人間が現れた。いや、人間は、いなかったか。人間に酷似した、何者かだ。
その何者かは、檻の前で止まると、檻の鍵を開け、中に入ってきた。
「カイだけは渡さない」
リンは、そう言った。よく、意味がわからなかった。僕を、渡さない?
その黒ずくめの男は、手を、前にかざした。そして、空中にある何かを掴むようにぐっと何かを引き寄せる。
「……ぐ」
すると、それにつられるようにして、リンの身体が引っ張られた。いつのまにか、リンの手の拘束具に、鎖が繋がっていた。その鎖は今、何者かの手の中にある。
リンは、いとも簡単に引っ張られていってしまった。「カイ! カイ!」彼女は言うが、僕にはどうすることもできない。
リンが連れ去られてすぐに、もう一人の黒ずくめの何者かがやってきて、僕を連れていった。僕は、どうすることもできなかった。
△ ▼ △ ▼ △
僕は、暗い部屋へと連れてこられた。しかし、よく目をこらせば、何か、人を張り付けるような巨大な十字架があることに気が付いた。
「何、するきだよ……」
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