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「えぇ~!!」
創の突然の退職宣言に、フロア中の悲鳴が鳴り響いた。
新田も驚いて、思わず立ち上がる。
「佐倉、ちょっと待て!!」
離れた場所に立っていた二人に駆け寄る。
「お前、自分が何をいってるのか分かってるか?」
創の肩を捕まえて、揺さぶった。
さくらがやめてしまうのはもちろん止めたい。
だが、そのために創がやめるのは、極端過ぎる。
出向から戻ってきた創は、幹部候補だ。
その創の退職は会社にとっても、大きな損失になる。
当然、さくらへの風当たりも強くなるだろう。
最悪の場合は、さくらも会社を止めざるを得なくなるかも知れない。
こういうことまで、この男は分かっているのか?
創の頭がガクガク揺れるほど、肩を揺さぶった。
そんな二人をさくらは心配そうに見ている。
「分かってます」
揺さぶる新田の腕を捕まえ、創が真剣な顔で答えた。
「さくらも分かってくれました」
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