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「私にはやりたいことがあるんです」
決してさくらのためではない。
創が挑戦したいから辞める。
真剣な顔で説明する創の言葉を、皆も真剣に聞いている。
一通り創の説明を聞いたところで、新田はさくらの顔を盗み見た。
隣に立つ創の事を一生懸命見上げ、時折、幸せそうな顔をしている。
あんな表情、するんだな…。
完敗…、だなぁ。
ふう、と大きなため息をつく。
「分かった。お前の人生だ。後悔しないようにやってみろ。ただし…」
創を睨むように見る。
対する創も、こちらに挑むような顔をしている。
「さくらちゃんを不幸にするなよ」
もし、そんなことがあれは、俺が遠慮なく彼女をもらうぞ。
そう付け加えると、創はニヤリと笑った。
「ご安心ください。絶対に渡しませんから」
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