文化祭~2日目~

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気持ちを切り替え、席に近づく。 「ご注文はお決まりですか?」 俺がそう聞くと、全身赤の男が口を開いた。 「僕はコーヒー」 全身緑の大男が続けて、 「プリン5つ」 「ぷははっ!いやいや、その図体でプリンって、しかも5つとか食べ過ぎでしょ」 「うるせーな、いいだろ別に」 赤い男が笑ってくれたからいいが、実は俺も小さく吹いていた。あぶねー、バレなくてよかった…。 まだ笑ってる赤い男を険しい顔で睨む緑の男。 「コーヒー一つに、ぷ、プリン5つと……そちらの方は?」 笑いを堪えながらメモを取り、まだ注文してない黄色い女の子に聞く。 女の子はしばらくメニューを見つめ、スッとオレンジジュースの文字を指差した。 「オレンジジュース一つ…と。以上でよろしいですか?」 「うん」 「おー」 「……」 三者三様のリアクションで答え(女の子は頷いた)、俺はその場から離れる。 キッチンに区切られた場所に注文を言いにいくと、功が横から歩み寄ってきて、 「すげー格好だな、あの三人」 「ああ。正直驚いたよ」 「なんの仕事してんだろうな、お笑い芸人か?」 「それにしてもすごい組み合わせだろ、あれは」 「まぁ、確かにな」 「はい秋風くん、持ってって」 「あ、おぅ」 お盆に乗ったコーヒーとプリンとオレンジジュースを持って再びさっきの席へと向かう。 「お待たせしました、コーヒー一つにプリン5つ、オレンジジュースになります」 「どーも」 「きたか」 「……」 テーブルに置いていくと、女の子が手を差し伸べてきた。 「あ、どうぞ」 と言ってオレンジジュースを女の子の手に渡した時、偶然、女の子と目が合った。
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