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――――――
「いやーいいもの見せてもらったわ!この写真は永久保存決定ね!!」
俺は姉ちゃんの首の裏を力いっぱいつねった。
「アダダダダっ!?痛い痛い地味に結構痛い!!」
「消せ」
まったく…人の傷口抉るような事やめてくれよなぁ…。
しかし、また女装しなきゃならんと思うと気が滅入ってくるな……。どうしたもんか…。
「わかった消す!消すから離して!そっそんな事よりお手伝いはしなくていいの!?」
「そんな事?そんな事ってどういう事?ねぇ」
「イダーーッッ!!」
姉ちゃんの言う通り、俺はまだ店の手伝いをしてる。
女装は当然してない。とーぜんッしてない。が、人手が足りないとかいう理由で頼まれたから引き受けた。暇だし。
夏氷も目を覚まして今はちゃんと働いてる。のんきに寝てた分働け働け。
「ちゃんと消しとけよ」
「もっちろん!」
「消してなかったら縄で吊るして乳つねるからな」
「それなんてプレイ!?」
さっきの物好きな客たちは減っている。滑稽な見せ物がなくなったからな。
それでもそこそこ来てるから、俺も働いてるわけだが。
「秋風くん、7番の注文聞いてきて!」
「ん?おぅ」
クラスの女子に頼まれ、7番のテーブルに座っている客に注文を聞きにいく。
食器を持ったクラスメートとすれ違いながら目当ての席に向かうと、そこにいた客を見て唖然とした。
人数は三人。男二人に女一人。
赤い髪に赤いスーツを着た若い男と、緑の髪に緑のスーツを着た大柄な男。そして、黄色の髪に黄色いスーツを着た小柄な女の子。
信号機だ……なんて思ったのは内緒の話。
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