逃避

2/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
---------------------------- プロフィール 中村 千里 14歳 156cm ---------------------------- 朝 私は起きた 小鳥の鳴き声が聴こえる 今日はいつもと違う清々しい朝だ こういう日は時々ある 私はベッドの脇に置いてあるリモコンでテレビをつけた 丁度 天気予報をやっていた 「今日の天気は晴れのちミルクキャンディでしょう」 ショートカットのアナウンサーが言った 今日のアメはミルクキャンディー! 私は嬉しかった 耳を澄ませるとリビングで姉が朝食を作っている音がする 私はベッドから飛び降り 勢いよく部屋のドアを開けて リビングへ向かった 「お姉ちゃんおはよう!」 姉は笑顔で振り向く 「おはよう!千里 今日は起きるの早いね」 「お姉ちゃん知ってる?今日のアメはミルクキャンディなんだってー」 「まあ!久しぶりね 最近はりんご飴とぶどう飴が多かったからね」 私は姉の事が大好きだ こんな清々しい日にはずっと話していたい だけど姉は仕事に行ってしまった 一人で家にいるのは寂しいので外へでた とりあえず商店街の方へ行こうと思い左へ歩いていくと 近所の白い犬が話しかけてきた 「千里ちゃん どこへ行くの?」 「ちょっとそこまでお散歩よ」 「そっか 気をつけてね」 「うん ばいばい」 私は手を振った あの犬はお喋りだ いつも私と目が合う度に話し掛けてくる T字路を右に曲がった 私は口笛を吹く なんたかとても楽しい しばらくすると商店街についた まだ午前中なのに多くの人で賑わっている 電気屋や本屋や魚屋それに喫茶店などがずらっと並んでいた 八百屋を覗くと野菜達が合唱をしていた 指揮をしているのは人参だ 歌っている曲は高田 勉の「天国」だろう とても楽しそうだ だけど君達はもうすぐ人間に食べられちゃうんだよ わかっているのかな…? 商店街を抜けると川が見えた 私は川へ向かって一直線に走った 水は太陽の光を反射してキラキラと光っている とても綺麗だった 私は土手で一休みすることにした 横になり耳を澄ませると水のせせらぎが聴こえてくる 風が芝を靡いた 私は近くに生えているタンホポに話しかけた 「今日はなんて気持ちの良い日なんでしょう 私 幸せだわ」 - 暗転-
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!