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リョウヘイはお手洗いから戻ってすぐに悪態をついたかと思うと、テーブルに置いたままだった携帯電話をいじりながら貝をパクつく。
それから何を話しても生返事で返すリョウヘイにイラつきを憶えつつ蟹の足を口に運ぶ。これも美味しい。
「そーいえばさ、さっき買った土産ってそれで良かったのか。他のヤツのほうが良かったんじゃない?」
「ん?私的には気に入ってるんだけど」
魚介とトマトのスープを口に運ぶのを止めて、左手の薬指に嵌めた指輪に触れる。が、またすぐにスープを口に運ぶ。
「露店のじゃなくてちゃんとした店で買ったほうがもっと良いモノはあったと思うけど。もしかして俺の財布の中身が心配だとか?」
「そんなんじゃないって」
リョウヘイの言い分にスープを吹き出しそうになる。
「別にいいじゃない。私は指輪を買ってもらったんじゃないの。思い出をプレゼントしてもらったの。今度は私がプレゼントするから楽しみにしててね」
「あぁ、楽しみにしてるよ。…どうした?変な顔して周りを見て」
「えっ!?何でもない。何でも…」
思わず否定をしてしまう。
キョロキョロと周囲を見ていた私はよっぽど変な顔をしていたのだと思う。
誰かに見られてる!
そんな感覚に襲われていた。
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