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きっと気のせいだ。
そう思い直してリョウヘイの問い掛けに首を横に振っていた。
「本当か?」
「本当だって」
今度は手をヒラヒラとさせて否定する。
「じ───っ」
うっ、視線が痛い。
「…だったらいいや。何かあったら言えよ」
「うん。ありがと」
リョウヘイに心配を掛けさせずにすんだ事よりも、疑いの眼差しから逃れられた事にホッとしていた。
何だか犯人になった気分。
誰かに見られているなんて私の勘違いよ。絶対!
「それより指輪を嵌めてるのを撮りたいんだけど。良い?」
私はバッグから携帯電話を取り出す。
「はっ?無理だろ」
リョウヘイは何言ってんの?という顔でチラ見してすぐに携帯電話に戻した。
「何でよ~。せっかくペアリング買ったのに。ダメ?」
「ダメって言ってない。『無理』って言ったの」
今度は携帯電話から外さない。
「だから何でよ!」
「ジュンも見てただろ」
リョウヘイは携帯電話のストラップに付けていた指輪を外す。
「俺の指じゃ太くて入んないの!」
それぞれの指に指輪を入れて見せるが、第一関節のところまでしか入らない。
ひとつを残して。
「!待って!小指ならイケそうじゃない?」
「いや~、無理だろ~」
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