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露骨に嫌そうな顔をする。
「大丈夫大丈夫。イケるって」
リョウヘイは落胆したかと思うと、意を決したかのように、えいっ!と指輪に力を込める。
「あっ!?入った」
すると、どうでしょう。
入らないと思っていた指輪が右手の小指の奥まで入ったのです。
「ヤッター!これで撮れるね」
私は手を叩きながら喜んだ。
けど、リョウヘイはぶっきらぼうに手を差し出す。
私もリョウヘイの隣に手を差し出す。
「じゃあ撮るよ。…ねぇ、そんなに嫌?」
私はリョウヘイの顔を窺う。
「何が?」
やはり不機嫌さを顔どころか声にまで表す。
「せっかく旅行に来たんだし、二人の思い出が欲しいと思っただけなんだけど…」
「…」
声を通り越して、足を揺すっているのがわかる。
「そんなに嫌なら撮るの止めるね…」
諦めて手を引っ込める。
「あーもう!いいから撮れよ!!」
リョウヘイは引っ込めようとする手を掴み、元あった場所に置く。
「…良いの?」
「ああ、撮って良いよ」
「本当に?」
「本当だって」
「本当に本当?」
「だから本当だって!」
つい大声を上げてしまい、周囲の注目を集める。
「あっ!えっ、いや、その、何でもないんですよ」
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