4人が本棚に入れています
本棚に追加
私達は食事(仲直り)を済ませると、旅館へと続く道を歩いていた。
辺りには家屋は無く、街灯もまばらにしか置いておらず、暗闇に包まれている感じだった。
「ねぇ、見て」
私達の隣には夜の海が広がっている。月に照らされて海がキラキラと輝いていた。
「昼の海と違って夜の海って、幻想的ですごく綺麗よね」
「あぁ、そうだな。すごく綺麗だ。………ジュンが」
「もう!…ホントに?」
私はリョウヘイの瞳を見つめる。
「もちろん」
リョウヘイも私の瞳を見つめ返す。
「嬉しい」
私は全身で喜び、リョウヘイに抱きつく。
旅行に来る前は争いごとが多かった分、より一層この島に来て良かったと思えた。
それからどのくらい歩いたのだろう。辺りは薄暗く旅館はまだ見えない。
「ん、どうした?」
リョウヘイは握っていた私の手に力が入ったことが気になったみたいだった。
「ねぇ、アレ」
私は目線を外すことなく前を見続けたまま言った。
周りの黒に溶け込もうとしているのかのように黒フードを頭に被った男(?)がこちらに向かって歩いて来ていた。
「あの人がどうした」
リョウヘイは聞き返してきた。
最初のコメントを投稿しよう!