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「だっておかしいじゃない」
「何が?」
このおかしな出来事に気付かないリョウヘイに対して不信感が顔を出始めたが、どうにか落ち着かせて説明する。
「だって、夜中に一人だし、それにこんなに暗くなってるのに上下黒一色でまとめた上にフードまで被ってて変でしょう。…何だか怖い」
「イヤイヤイヤ、怖いってあの人に失礼じゃん。それに夜中っていう夜中じゃないし。」
笑って否定されてしまった。
「一人で歩いているのはさ、自販機で何か買おうとしてるんじゃないの?さっきあったし。フード被ってんのはファッションでしょ」
そう断言されてしまうと、そうなのかも知れないと思うが、黒フードからは異様な雰囲気を感じ取ってしまう…。
私達と黒フードとの距離が近づいていくたびに、私の心臓は大きく速く脈をうつ。
私は緊張しながら、私達の横を通り過ぎる黒フードを横目で気付かれないように見ていた。
「………」
「痛たたたっ。力、弱めて」
数歩、歩いた所でリョウヘイが願いでる。
「えっ!?あっ、ゴメン!」
どうやら気付かないうちに強く握っていたらしい。心臓はまだ暴れている。
落ち着かせるために私は大きく息を吐いた。
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