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「でも、リョウヘイを置いて行けない」
「良いから早く……、だぁー、もう暴れんな!!」
そう言って黒フードを投げ飛ばす。
「ジュン、俺は大丈夫だから」
リョウヘイは痛むのか、歪んだ笑顔を向ける。
黒フードは体勢を立て直し、再びリョウヘイへと襲いかかって来た!……が、リョウヘイはそれを見越していたかのように向き直り襲ってきた警棒を受け止め、
「行け!!」
と、もう一度促す。
私は意を決して急いでバッグを拾ってその場から逃げた。
「ありがとう」
私は必死になって走った。
本当にこれでもかというほど走った。…けれども私はこれまでの自分の人生に後悔をしていた。
走りだして程なくしてその症状が現れた。
息が乱れ始め、身体が重い。そして何よりも、足がもつれそうになり走り難い。
私ってこんなに運動が苦手だったっけ?
学生の頃から運動といえば体育の時間のときにしかしてこなかったが、ここまでだとは思わなかった。
どんなに悔やんでも、どんなに自分を恨んでも、どんなに心臓が悲鳴をあげようとも、街灯の灯りが点々としかない暗い道をひたすら走るしかなかった。
たまに後ろを振り返るが誰も追ってくる影は見えなかった。
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