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リョウヘイは無事だろうか?
たまにそんな不安に押し潰されそうになる。まるで地の底から闇が這い出て来て、私の足に絡みつき最後には私の身体全体を覆ってしまい身動きすら出来なくさせてしまうようなそんな感覚。
リョウヘイは本当に無事なんだろうか?何だか心配になってきた。
あの時見せた笑顔が忘れられない。
痛みを堪えた笑顔。
私の心配をかき消そうとしてくれた笑顔。
大丈夫だと言ったあの笑顔が忘れられない。
「!」
足がもつれて転びそうになる。
身体が重く胸が苦しい。
この胸の苦しみは息が上がったからなのか、心配からなのか。どっち何だろう?
きっと両方が幾重にも絡まりあって私に重くのし掛かって来ているのだろうと、霞がかった頭で考えていた。
私は大きく息を吸い、それらを必死に振り払って足の動きを止めることなく前後運動を繰り返した。
今にして思えば、髪を振り乱して無我夢中で走る私は傍から見たら滑稽だったかもしれない。
それでも、私が今すべきことがある。此処から少しでも遠くへと離れること。そして一刻も早く助けを呼ぶこと。
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