第十三章 天獄の管理者

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二十メートルは吹っ飛んだかもしれない。だが両膝に片手も加え、なんとか倒れずに済む。   「二重で何かを張ったか。本当ならば刺し殺していたはずなんだが、奇妙な力だ」   闘刃君は口から血を吐き捨てる。なんて奴だ。炭素結界ごと貫こうとしていたのか。   「お嬢さんは戦意喪失か?」   「まだまだ!!」   虚勢を張ってみたものの、槍で傷一つつけられなかったのだから当然わたしの拳などたかが知れている。むしろこちらが怪我をすることになりそう。   「隠力者を舐めるなよ」   闘刃君の周囲に様々な文字や記号が映し出される。   両手の平を前へ出し、青い粒子が集まり始める。それが手を覆い尽くしたとき、一気に放出した。   「何!?」   奴が両腕を交差して防ごうとしたのを最後にかなり大きな爆発が巻き起こる。   私は闘刃君のところまで退避し、爆風が収まるのを見つめる。   私も見たことがない闘刃君の隠力攻撃だ。多分水蒸気爆発だとは思うけど……   「隠力者と言ったな、なるほど。確かに人間風情では有り得ない強さを持っている」   両腕が……再生している。気持ち悪い。骨まであらわになっている腕は時間を逆戻りするように変化していく。   「名を名乗れ。強き生物」   「闘刃。古代生物とは全員あんたみたいに横暴なのか?」   「横暴?自然の摂理だろう?古代生物は種の頂点。人間とは搾取されてしかるべき対象だ」  
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