第十三章 天獄の管理者

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また二手に別れたが、ルガードは闘刃君の方にしか注意していない。油断している。   槍を持っているときと同じ感覚で銃に電圧をかける。銃弾辺りに強いボルトを感じる。恐らくもう引き金を引けば撃てる段階に入っている。後は狙うだけ。   「クックック、面白い!!暇潰しには中々の時間だ!!」   近接戦闘で互いの武器を振るい合っているが、闘刃君は攻撃を三割程度に抑えている。機を伺っているみたいだ。ただ、防御を七割にしているために完全に防げてはいない。現に押され気味だ。   「……チッ」   偽剣が弾かれる。だがルガードは一気に攻め込もうとはしない。   「どうした?来ないのか?」   「もう一匹いたのを思い出してな。何か企んでいるな?」   気付かれた。でも照準は……バッチリ!!   引いた瞬間、稲妻と爆発が同時に起こった。反動を身体の反射機能で強引に耐え、持ちこたえる。   「愚かな。再生するこのカラダ……!?」   確かに再生される奴に傷はつかない。けど、闘刃君が言った通りだ。   「一秒。明暗分けたな」   手に集めた光粒子の固まりを掌底で奴のカラダに放つ。   直接当てた方が威力が高い。それを証明するに至る爆音が耳を叩いた。   煙と風が舞い、それと同時に周囲にあった灼熱の炎が霧散する。   完全消滅。奴のカラダは全て塵となり、分解された。   そこには何もない。爆発した跡だけがくっきり残っていた。   「闘刃君!!」   勝った喜びで思わず抱き着こうとしたが、華麗に避けられる。なんだ今の予期していたような動き。   「よく当てたもんだ。銃を扱うのは初めてだろう?」   「半分運ですね。必死でしたから」   実は結構気に入っている。私の隠力はこういうのにも応用できるのか。
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