第十三章 天獄の管理者

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「そいつはやる。相性も良さそうだ。もうすぐ誕生日なんだろう?」   「えっ……」   覚えててくれたんだ。私の誕生日。   そう思うと何か顔が途端に熱くなる。   「槍の方は熔けてしまったんだから、武器は必要だ。空弾ならそれは電圧砲として機能する。遠隔攻撃としては申し分ない」   成る程。間に合わせにしては凄い武器だ。槍の方は脱出後に考えよう。   脱出……そういえばどうやってここから出るのだろうか。   「いやいや、もはや我々に近い種族だ」   そんな馬鹿な。今、明らかに奴の声が聞こえた。闘刃君も私も目を凝らしてその再生を視界に入れる。   ルガードは消滅していなかった。   「あれで復活できる……のか?」   「言っただろう?不老不死と。残念ながら俺の全てを分解することはできなかったようだ」   頭部から首、そして四肢が現れる。全身に着ていると思っていた鎧も再生に含まれている。   「ヴァンサーの鎧……」   「全身鎧とも言う。さしずめヴァンサースーツとでも呼んでおくか。これを破壊するとは見事だ。いい暇つぶしにはなった」   敵意が……消えた?二回戦が始まると思っていたのだが、何故?   思案していると、ルガードは自分の頭部を手に持ち、私達の方に近付いてくる。   「外界には面白い奴がまだいるようだ。お前達についていくとしよう」  
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