第十四章 古代生物の謎

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「古代生物は肉体と精神の寿命が別々になっている」   「……本当か?それは」   いや、普通は有り得ない。肉体が死ねば生物は死を迎える。何故なら生命を維持するために必要な心臓が停止することで脳も自動的に活動を止め、この瞬間に連動的に精神も消えてなくなるからだ。   では古代生物がその『普通』に当て嵌まらない生物だとするとどうか。未だ謎が多い古代生物は俺達とは違う別種族だ。現にルガードは『普通』ではない。   「古代生物は『核』がある。心臓とは別のモノだ。肉体の死は心臓を破壊されることで、精神の死は核が破壊されることで起こる。この『核』はとてつもなく小さく、寿命はない。破壊されない限り永久に生き続ける」   「……デュランはその核を組み込ませて現世に甦らせた。おそらく核と遺伝子が混ざった状態で。ようやく話がわかってきたな」   「『核』まで潰された古代生物はほとんどいない。そのデュランとやらは相当危ない考えを持っている。古代生物からすれば人間は弱い生き物に過ぎない」   奴の理想郷が読めてきた気がする。人間を滅ぼすには古代生物の力が必要であり、かつ欲を満たすために人間を喰らうという機能がいる。奴が境界を閉じたのはそのための準備といったところか。   多分、境界の向こう側には数多くの古代生物の核が残っているのだろう。  
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