第二章 森国の事情

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「その魔生物は人間とほとんど変わらない外見だったため、最初は誰も信じなかったそうです。ですが、その魔生物はカラダの組織が人間と全く異なっていて、人間ではない別の生物であることが証明されました。しかしそれにより……」   「恐れられて処分された?」   「……人間の死体を喰らうことでカラダの細胞が回復することが判明し、危険人物として彼は一度逮捕されました。後に獄中で大きな火災が起こり、彼は亡くなったと報告されていました。もう何十年も前の話です」   腕を組み、頭の中でおおざっぱに内容をまとめてみる。デュランは魔生物の生みの親、森国出身で生物学者だったが魔生物の開発で逮捕、死亡が確認されたが……という感じか。   「続けてくれ」   「はい。それから数年が経った時、ある噂が流れたのです。万国でデュランらしき人物がいると。真偽の程はわかりません。当時は国交があまりなく、綿密な捜査もできなかったと聞きます。時代は過ぎ、ほんの五、六年前でしょうか。奇妙な生物が万国にいることが発見され、正式に森国は調査に乗り込む事を決めました」   デュランは生きていた……と考えるのが妥当か。万国は謎めいた国だから隠れみのには調度よかったのだろう。   流奈姉さんも自分の国については何も話してくれなかった。ただ、私達に万国語を教えてくれていた時、いつか必ず役に立つからと常々言われていた。   それが今とするなら……。
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