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修行をしてみたいと宣言したものの、何者かもわからないこの古代生物に師事してもらうのは如何なものなのか。
さっきから妙に私の手を眺めているのも気になる。
というか言葉の問題が……
「安心しろ。羅国の言葉なら知っている。ここは色んな物があるからな。語学は暇つぶしには調度いい」
「……それならそうと早く言って下さい。それで、今は何を?」
会話できると思った途端に急に気が楽になる。でも、そうじゃなければ闘刃君が頼むわけない……よね。
「さっきあの男に聞いた。ルガードがお前の武器を溶解してしまったらしいな。ついでに新しいやつを俺が造ってやる」
「だから私の手を。イーターさん、親切なんですね」
「違うな。俺はお前が弱いから修行してやると言っている。武器もそのためだ」
意外に心にくる。私ってまだ弱いのか……。それなりに強くなったと自覚していたのに、闘刃君以外からそうはっきり言われるときつい。
「お前の隠力は強い。だがそれだけでは地上にいる古代魔生物には勝てない。何故かはわかるか?」
「私自身が弱いからとかですか?」
「……まぁ、それは実戦でやった方がわかるな」
手から目を離し、イーターさんは地面に刺してあった赤い波状の刃物を抜き取る。
「俺に攻撃を当ててみろ。修行はそれからだ」
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