第十五章 別れた道標

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当てるだけでいいのなら多少自信はある。この隠力で不規則に動けば上手く間合いに入れる。あの武器は小回りがきくモノではない。この勝負、勝機はある。   「じゃあ、本気で行きます」   最大生理限界を発動させ、脚を加速。左右に揺さぶりながら一気に接近する。   「弱点その一」   「……っ!?」   何?武器ではない。突然私は腹に衝撃を受け、後ろへ飛ばされる。   直ぐさま相手を見ると蹴りの動作になっていた。私は蹴られたのか。   「かなり手加減したぜ。お前は武器にしか目がいっていない。それが回避できれば途端に全神経を攻撃に移す。誰かに指摘されたことはなかったか?」   直接されたことはない。しかし今の攻撃、闘刃君と戦ったときにやられたやり方によく似ている。   「来ないならこっちから行くぜ」   思った以上に動きが早い。赤い波状の刃物が斜めに一閃される。私は低い姿勢からそれを横に避け、死角に回って拳を突き入れた。   「弱点その二」   その瞬間物凄い回転で相手の武器が迫って来る。回転斬り!?   とにかく下がる事に瞬時に切り替え、反射を使って目と鼻の先で当たらずに難を逃れる。   「先入観が強い。お前は今、俺の武器がでかいから動きに隙が生じると考えた。だがこれが通じるのは所詮人間だけ。俺の間合いに隙などはない」   ではどうすればいいのか。隙のない相手に戦うにはどうすれば……。
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