第十五章 別れた道標

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「弱点その三。お前はフェイントがない」   「フェイント……?」   聞いたことのない単語だ。   「つまり『騙し』だ。お前は常に自分の攻撃を全て当てようとしている。要するに戦い方が下手くそってわけだ」   また言われた。闘刃君に指摘された事と全く一緒の事だ。   「心当たりはあるようだな。お前に必要なのは応用だ。少し考えてみろ。幸いにもここは時の進み方が遅い。一発当てられたら本格的な修行開始だ」   するとイーターさんはさらに奥に歩いて行く。   「どこ行くんですか?」   「新しい武器の開発だ。当てられる策が考えついたら呼べ。また相手してやる」   なんか、呆気にとられるというか。最初から厳しくやるのかと思いきや、想像とは違っていた。   でも考える……か。これまでの訓練は基礎ばかりだったからこういう修行は初めてかもしれない。   私は隠力を使えば必ず死角に回り込む。それが定石だったし、これまでは上手くいっていた。が、駄目な相手もいるのは事実。   『騙し』は確かにやった事がない気がする。速さに自惚れていたからかな……。   闘刃君や泪がしてきた攻撃はその『騙し』がある。私が勝てない理由はそこにある?   悩ましい課題だ。でもこれを克服しないと私はもう一段階強くなれない。   しかし……う~ん。
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