第十五章 別れた道標

5/9
前へ
/457ページ
次へ
‡   実は魔生界はかなり広い。この世界で最も面積がある万国のおよそ六割を占めている。だからか、未開の地域が非常に多い。   それを表すのには都合がいい景色だ。見事に荒野が続いている。   「なんとも太陽が眩しい。これが地上……懐かしき大地」   ルガードは暑苦しい全身鎧に兜をつけ、さらにマントまでご大層に着けている。体温調整ができるから体感は俺とは別物らしい。恰好は目立つが、魔生界ではこんな奴がいても変ではない。   イーターから指示されてなんとか地上に出れたのはいいが、場所が全くわからない。   「して闘刃よ、お前はこれからどうする?」   「デュランの研究所に戻るつもりなんだが、方角くらいしか目印がないな」   未開の地だから当然地図はない。研究所は境界からそれほど離れていなかったはず。ということは南を目指せばいいのか?   コンパスで確認した後にその方位を双眼鏡で裸眼ごしに眺める。   「建物?」   蜃気楼ではないなら小さく建造物が見える。見えるのだから行ける距離だ。   「ルガードはどうするんだ?ついてきても構わないが、研究所は色々ときつい場所になる。あそこは古代生物も研究対象だからな……」   「デュランという人間に興味がある。それにそこへ行けばかつての仲間に会えるのかもしれん」   そういえばコイツは古代三強の一つだとか言っていたな。   察するに、古代の時代でも縄張り争いはあったのだろう。
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加