第十五章 別れた道標

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「南東に建物がある。とりあえずそこに行って情報を集める……でいいか?」   「不死とはいえお前は一度俺に勝った。お前に従おう」   あれは勝ったと言えるか?……とにかく一緒に来るらしい。敵にすると面倒な奴だが、味方ならば頼もしい。   歩いて目測で三十分から一時間ってところか。こうも見晴らしがいいと魔生物からはまるわかりだ。自動結界を張っておいた方がいい。   自分以外には発動できない結界だが、ルガードはそういうのが不用な生物に当たる。俺にとっては楽ができていい。   「……込み入った事かもしれないが、一つ聞いてもいいか?」   「何だ?」   しばらくは無言で歩を進めていたものの、魔生物は思いのほか出てこない。暇になったルガードが後ろから話しかけてくるのもそれが理由だろう。   「あのお嬢さんを何故イーターの元に残した?」   「若菜はまだ戦い方をわかっていない。隠力の力押しでも中級魔までなら倒せるが、上級魔となるとそうはいかない」   「『ルナ』の師匠であったイーターならそれを教示してくれると?」   「おそらく。まぁ、本当はもう一つ理由があるんだが……」   俺がデュランと交わした協力するための条件。一つは吉宗の治療。そしてあと一つ。それはできることならば若菜には知らせたくない。   だから別れた。若菜を研究所に連れて行けばそれを否応なしにわかってしまう。   「詳しい事情は及ばんよ。俺は部外者だ」   「そう言ってもらえると助かる」  
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