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「南東に建物がある。とりあえずそこに行って情報を集める……でいいか?」
「不死とはいえお前は一度俺に勝った。お前に従おう」
あれは勝ったと言えるか?……とにかく一緒に来るらしい。敵にすると面倒な奴だが、味方ならば頼もしい。
歩いて目測で三十分から一時間ってところか。こうも見晴らしがいいと魔生物からはまるわかりだ。自動結界を張っておいた方がいい。
自分以外には発動できない結界だが、ルガードはそういうのが不用な生物に当たる。俺にとっては楽ができていい。
「……込み入った事かもしれないが、一つ聞いてもいいか?」
「何だ?」
しばらくは無言で歩を進めていたものの、魔生物は思いのほか出てこない。暇になったルガードが後ろから話しかけてくるのもそれが理由だろう。
「あのお嬢さんを何故イーターの元に残した?」
「若菜はまだ戦い方をわかっていない。隠力の力押しでも中級魔までなら倒せるが、上級魔となるとそうはいかない」
「『ルナ』の師匠であったイーターならそれを教示してくれると?」
「おそらく。まぁ、本当はもう一つ理由があるんだが……」
俺がデュランと交わした協力するための条件。一つは吉宗の治療。そしてあと一つ。それはできることならば若菜には知らせたくない。
だから別れた。若菜を研究所に連れて行けばそれを否応なしにわかってしまう。
「詳しい事情は及ばんよ。俺は部外者だ」
「そう言ってもらえると助かる」
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