第二章 森国の事情

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流奈姉さんは予期していたということになる。   魔生物と私達隠力者の争い。それ自体を。   「結果は最悪なものとなっていました。魔生物が蔓延し、万国は討伐協会と言われる魔生物討伐隊を結成して幾度となく戦いを続けていたそうです。森国は兵器を使用し、魔生物の駆除にかかろうとしましたが、魔生物は人間との区別がつかず、躊躇いました。……実はブラッド機関の有機生命体も元はこのために造るよう政府から要請があったようです」   「奴も政府も途中からおかしくなったんだろうな。しかし上手い具合に辻褄が合うものだ」   政府側も隠力者を自国のモノにできれば魔生物に対抗できると思ったに違いない。魔生物出現は森国の責任が大きい。焦りが対策を変な方向にしてしまった。   「宗吉さんは当初、魔生物の事を知らされていませんでした。政府は彼が魔生物の存在により万国に行かなくなるのを考えたのでしょう。得てして森国は隠力者を万国に送る事に成功しました」   「何か気にいらんな。森国の政府のやり方はあくどい」   他者任せというのがどうもいけ好かない。   「政府は国内の混乱を異様に恐れています。兵器があるとはいえ、国民はほぼ人間です。私達とはやはり違いますから」   「そうか。……して闘刃は?」   あの闘刃が素直にそんな森国の政府に従うとは思えない。   理由があるはずだ。
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