25人が本棚に入れています
本棚に追加
この一ヶ月間魔生物についてはある程度学んだ。試すのはこれが初めてだが……いけるか?
隠力を操作し、俺は初となる魔生物の治療に着手した。
構成される物質を再構築するのはまだ難しい。再生速度を強引に速めるしかないな。
「……ん、あ、ここ……は」
治療途中だが目が覚めたようだ。上半身を起こしてこちらを眺めている。
「久しぶりだと言いたいところだが、まだ途中だ。少し静かにしてくれ」
古代魔生物……だったか。俺が計算していた速度よりも再生が速い。人間と比べると段違いだ。
リーンは会長のミヤコと共に行方不明扱いにされている。ミヤコの事についてはリーンに言っておいた方がいいかもしれない。
「終わった。異常を感じる箇所はあるか?」
「ない。ありがとう……闘刃……?」
「名前、覚えていたのか」
リーンは頷き、揺らぎながら羽を動かして俺の肩に乗る。まだ万全ではないようだ。
「ルナの匂いしたから。基本仲間以外は名前忘れる」
匂い?ルガードといい、変な第六感を持つ奴が多い。
「そいつが古代魔生物という者か」
ルガードは大剣を担ぎ直し、腕を組んでリーンの方を見つめている。俺が治療を行っている間に全部片付けてしまったらしい。他の魔生物の気配は特にない。
「誰?」
「ルガード。古代生物だ。お前を見つけたのは正確にはコイツ」
最初のコメントを投稿しよう!