第十五章 別れた道標

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この一ヶ月間魔生物についてはある程度学んだ。試すのはこれが初めてだが……いけるか?   隠力を操作し、俺は初となる魔生物の治療に着手した。   構成される物質を再構築するのはまだ難しい。再生速度を強引に速めるしかないな。   「……ん、あ、ここ……は」   治療途中だが目が覚めたようだ。上半身を起こしてこちらを眺めている。   「久しぶりだと言いたいところだが、まだ途中だ。少し静かにしてくれ」   古代魔生物……だったか。俺が計算していた速度よりも再生が速い。人間と比べると段違いだ。   リーンは会長のミヤコと共に行方不明扱いにされている。ミヤコの事についてはリーンに言っておいた方がいいかもしれない。   「終わった。異常を感じる箇所はあるか?」   「ない。ありがとう……闘刃……?」   「名前、覚えていたのか」   リーンは頷き、揺らぎながら羽を動かして俺の肩に乗る。まだ万全ではないようだ。 「ルナの匂いしたから。基本仲間以外は名前忘れる」   匂い?ルガードといい、変な第六感を持つ奴が多い。   「そいつが古代魔生物という者か」   ルガードは大剣を担ぎ直し、腕を組んでリーンの方を見つめている。俺が治療を行っている間に全部片付けてしまったらしい。他の魔生物の気配は特にない。   「誰?」   「ルガード。古代生物だ。お前を見つけたのは正確にはコイツ」  
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