第十五章 別れた道標

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しかし勘というやつも馬鹿にできないな。それとも、やっぱり隠力者同士みたいに古代生物も同じ種族を感じ取れることができるのだろうか。   というか、リーンが若干ひいている。兜をつけたまま凝視しているから当然か。   「おぉ、すまない。兜は威圧感があるな」   するとルガードは兜を脱ぎ、その素顔を明らかにした。   赤色の長髪。それと右目を斜めに斬られた傷跡。充血したような赤い瞳。これまで不老となったいただけあって顔は若い。おそらく全盛期のままだろう。   第一印象は意外だった。俺がこれまで見た古代生物は全て人らしからぬ姿だったが、ルガードはどこを見ても普通の人間だ。まるで俺達隠力者のような……   「ハーネスフェアリー」   「は?」   「何故それを?」   俺とは対照的にリーンは知っている風だ。   「知り合いの気配はわかる。お前にはハーネスフェアリーの精神がある」   「で、そいつは本当か?」   「……はい。私は植物を操る。それ、ハーネスフェアリーの能力。でも、生きた古代生物初めて」   再びルガードは兜をつけ、顔の位置を戻す。   情報は得られないと思っていたが、リーンが生きていたことはわかった。しかし……   「まずは互いの状況を話した方がよさそうだな」   リーンが果たしてどんな決断をするのか。
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