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よもや再びこの場所へ帰ることがあるとは思ってもみなかった。
あの男とまた顔を合わせなければならないと考えると虫酸が走る。
「あれ?」
「どうしました?ロゼお姉様?」
違う。もう研究所の門まで来たというのに、あの男から発する意識操作の匂いが全然しない。
シーザもこれといった変化はない。だが不思議がってはいないようだ。
「あ、そういう事でしたのね。デュラン様はもう意識操作するつもりはありませんのよ。今は理想郷のためにもロゼお姉様本来の力を使って欲しいかららしいですわ」
その話を聞いて少し前の出来事が思い出される。あの時も奴は同じ事を言っていた。てっきり私を騙す嘘だとばかり。
「理想郷……って何?」
「それはデュラン様から直接聞くのがよろしいですわ」
気が進まない。奴とはできれば同じ空間にだっていたくないのに。
大体私は別の目的が。
「研究所か。本当にこんな所に宗吉がいるのか?」
蓮花が私の言いたい事を代理してくれた。今でこそ平静だが、闘刃達が落ちた直後は……。あまり思い返さない方がいいだろう。
しかし、闘刃がオウルイーターの内部に行く事は『予定』だったとシーザから聞くとすぐに安心してくれた。
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