第十六章 彼との再会

3/10
前へ
/457ページ
次へ
私も奴に会うよりも先に彼に会いたい。   「ようやく来たか、お前達」   噴水の側にあるベンチに座っていたのはザードだった。先にいても特におかしくはない。ザードは境界を素で通れる数少ない、というより魔生物では唯一の存在だ。   噴水という涼しさとフードという暑苦しさが両方見れて妙な感じがする。   「蓮花といったな。奴に会わせてもいいが、その部屋の鍵はデュランが持っている」   「つまり、どちらにしろ先にあの男の所に行く必要があると」   用意周到な奴だ。何か条件でも挙げるつもりなのか。   「……鍵を使わなくても扉を開ける自信はあるが、従おう」   「強気な女だ。シーザ、後は俺が案内する。例の任務に行け」   「わかりましたわ。ではロゼお姉様、失礼致します」   頭を下げ、踵を返して噴水場から離れていく。   任務ってなんだろうか?デュランの狙いがいまいちよくわからない。   それもついでに聞けばいいか。   「こっちだ」   先導する役割になったザードが金音を鳴らしながら研究所の中を進んでいく。   私はともかく、蓮花をデュランと会わせて本当に大丈夫なのか。何せ彼が重傷を負ったのは元を辿れば奴のせいだ。まだちょっとの面識しかないが、蓮花はどちらかと言えば口よりも手が先に出る。   冷静に対応してくれればいいのだが……
/457ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加