第十六章 彼との再会

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研究所に変わったところはない。向かう先も所長室。何か彼と初めてここに来た頃を思い出す。   あの時とは事情が違う。今回はあくまで交渉だ。   「着いたぞ。失礼のないようにな」   ザードが拳の裏で軽く扉を叩き、開ける。   奴の顔が見える。あの特徴的な金と黒が混ざった髪。生きているのか死んでいるのかわからない無の目。   状況反射だ。まだ五メートル以上離れているのに近付くのを躊躇う。   「ようやく来たね。ザード、下がっていいよ」   「了解」   ザードが扉を閉めて出ていき、この空間に私と蓮花と、そして奴だけが残る。   双方が黙り込み、静かな時間が流れる。緊張の一瞬。   「ラスターの力を完全に解放したみたいだね」   「どうしてそれを!?」   ラスターの解放自体誰にも話していない事なのに。   「君を造ったのは誰だと思ってるんだい?それくらい姿を見ればわかるよ。ま、それより」   奴は蓮花の方に首を回す。   「お初にお目にかかります、蓮花君。魔生物研究所所長のデュランです。君の事はザードから聞いているよ」   「お前が魔生物を造った張本人か」   「いかにも。そこにいるロゼ、そしてシーザも私が造ったモノ」  蓮花はまだ冷静だ。だが交渉次第では荒れるかもしれない。
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