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「蓮花、宗吉と闘刃は一ヶ月前にガデスと戦い、結果として負けている。デュランの話は決してふざけていない」
奴は彼を手中にすれば私をどうにかできると考えている。そしてそれは間違っていない。
蓮花にしてもそうだ。彼女は仲間のために遥々万国までやって来た。だからこそ逆らえない。
「ガデス?」
「理想郷の王たる最強の魔生物の名だよ。君達隠力者の中でも闘刃君と宗吉君は五指に入る実力者。だけど、ガデスには勝てなかった。これが何を意味するかわかるかい?」
ガデスの強さは常軌を逸脱している。実際に戦わなかった私でもわかる。確かに彼らは強い。ガデス以外の魔生物ならば負ける姿すら想像できないくらいに。
そう思えるくらいガデスは別格だ。ガデスは古代生物と隠力者の両方の遺伝子を合わせもっている。あれ以上の生物を生み出すのはもはや無理に近い。
「では闘刃もお前に従っているというのか?」
「彼は私の理想郷に賛同してくれた。従うというよりは協力者だよ」
「闘刃が……自ら……?」
私もこれにはかなり驚いた。最後までガデスに抵抗し、私と彼を逃がしてくれたのに。
この一ヶ月でどういう心境の変化があったのか。
それは闘刃にしかわからない。
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