第二章 森国の事情

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「闘刃さんは密偵として送られたようです。内部調査でしょうか。彼自身も魔生物というのに興味があったらしく、簡単に行ったそうです。……蓮花さん、どうしました?」   気が抜けて机についていた肘がずりすべる。あの男はまったく……。   だが背景は理解した。流奈姉さんの生まれた地……宗吉、闘刃はそこへ行き、姿を消した。私が足を踏み入れるのも何か運命めいたものを感じる。   「蓮花さん、個人的な考えでいいのなら私はあまりお勧めしません。魔生物は人を喰らいます。まさしく化け物です。それに森国政府は隠力者を使い勝手のいい人体兵器としか考えていません」   「私は宗吉と闘刃の安否が知りたいだけだ。森国側の思惑通りに動くつもりは毛頭ない」   魔生物も現地に行って実際に見てみないことには始まらない。   しかし人を喰らうのだから十中八九殺し合いになる。   「……わかりました。ではルートを説明します」   泪は机に大きな地図を拡げる。森国の他、羅国や万国まで詳しく記載されている最新のやつか。   「昨年に発行した世界地図です。物資船が今日来た森国の港から羅国ギルス帝国港に行き、その経由で万国のフラガ港へ到着します。そこから地下列車でゼルグランドへ向かって下さい。ゼルグランドには確か……」   「健太がいるな。了解した。日時は?」   「三日後の昼の2時半に羅国に寄ります。万国のフラガまでは私も同行します。許可証があれば最大四人まで大丈夫です」   四人。別に私だけでもいいんだが、魔生物が多数で攻めてきた時を考えるならば誰かいた方がいい。   三日で決めるしかない。
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