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「ん?」
どこからともなく警笛が鳴る。今いい所だったのに邪魔をされた気分だ。
「……了解した」
ザードが耳に何かを当てて喋っている。今の音と関係があることだろう。
外にいるからわかるが、警笛が鳴る数分前から確かに変に騒がしくなっていた。最初は私達が戦っているからだと思っていたが……。
「貴様との決着はまた次の機会だ。討伐協会が攻めてくる」
「討伐協会が?」
境界は塞がっていたはず。まさか闘刃達がどうにかあの吸引を止めたのか?
「この研究所にはミヤコが捕縛されている。取り返しに来たのだろう。おめでたい奴らだ。ガデスがいる事も知らずに」
意味深な言葉を残して錫杖を鳴らしながら研究所の正門へ向かう。自分でもよくわからない。何故か私もザードについていった。
「戦うつもりなのか?」
「当然だ。多数を一掃できるのは魔生物の中でもそれほど多くない。……貴様はどうするつもりだ?」
「私は……」
本来の目的は宗吉を助けることだった。しかし宗吉は未だ意識不明。クロに任せたはいいが、こんな展開だ。動くに動けないだろう。
魔生物に関して言えば結論は出ていない。ザードは宗吉を殺そうとした。けど、コイツは悪い奴ではない。全ては魔生物の、自分達の種族のためにやっている。
板挟みの状態だ。討伐協会と魔生物。どちらの味方にも今はつけられない。
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